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200X年Y月Z日、私はかすかな揺れで目を覚ました。 かすかな金属音がする。一体ここはどこなのか?私は誰なのか? 寝起きのためであろうか。過去の一切の記憶が全く無い。全く思い出せない。天井には間接照明のやわらかな光が、周りを照らしている。 寝ていたベッドは、何やら変わった形状だ。頭の部分だけが半円を描くようにして囲まれている。どこかのホテルか?とも思ったが、周りを見渡してもそんな感じでは無い。 足元にはテレビの液晶画面がある。操作は手元で出来るようだ。操作部分には、テレビの他、照明の照度やエアコンの調整まで出来るボタンがあった。 少し周りを歩いて、徐々に記憶をたどってゆくことにしよう。 |
少し歩くと、階段が見えてきた。ホテルなら一旦部屋のドアを出てからでないと階段に行けないはずなので、ホテルではないことは分かった。 「じゃあ、ここは一体どこなんだ?」 自問自答しながら、ゆっくりと階段を降りて行った。すると、ラウンジらしきものが見えてきた。 「このラウンジでコーヒーでも飲みながら、ゆっくりと記憶を思い出すとしよう。」 |
カウンターの空いてる席に座り、ホットコーヒーを注文した。 熱い煎れ立てのコーヒーを啜りながら、じっくりと考えてみた。 ・・・そうだ、確か私は仕事で海外出張するんだった。思い出してきたぞ。ということは、やはりここは海外のホテルの中なのか? コーヒーを入れてくれたウエイターに、ここはどこですか?と聞こうとも思ったが、おかしな人と間違えられて連れ出されても困るので、聞くのをやめた。 周りの客を見ても、様々な外国人がくつろいでいる。そうだ!ここは各国の外国人が集まる主要都市なんだ!私の出張先は・・・どこだったか・・・そこまではまだ思い出せない。 「そうだ!私のカバンの中を見れば、何か手ががりになるものが入っているはずだ!」 そう思い、コーヒーを一気に飲み干し、手早く元居た場所に戻った。 |
戻ると、ベットが無くなっていた。いや、正確にはベットが椅子に変わっていた。ホテルならベットと椅子を兼用するなんてことは無いはずだ。 そう思いつつ、私は自分のカバンを取り出し、中身を見てみた。 「やはりそうだ。仕事の道具が入っている。英語で書かれた契約資料もあった。確かに私は海外の業者に契約を交わしに出張してきてるんだ!でも待てよ、一体私は海外のどこに来たのだろうか?」 勇気をしぼって、隣に居る外国人に聞いてみることにした。 「すいません、ここはどこでしょうか?」 「いや、私も正確には分かりません。あの人に聞いてみてはどうですか?」 正確には分からないってどういうことだ?その外国人も私と同じく記憶が無いのか?そう思っていると、ベルボーイのような人が通りかかった。仕方がない、思いきって聞いてみよう! 「すいません、ここはどこなのでしょうか?」 「ちょうどフィリピン付近です。」 フィリピン付近とは何なんだ?何でそんなアバウトな答えなんだ?それとも、私の英語力が足りなかったのか・・・? フィリピンには取引きが無いはずだ。一体どこなんだここは・・・ |
その時、アナウンスが聞こえてきた。 「間もなく気流の乱れているところを航行いたしますので、シートベルトの着用をお願いします。」 さて、みなさんは今どこにいるか分かったかな?ここでこの写真が出てきたのですでに分かったかと思います。そう、これは近未来の飛行機の中なのでした。 この飛行機は、エアバス社の次世代超大型旅客機「A380」だ。総二階建てで座席数は現世界最大であるボーイング747を大きく上回る555席である。 |
現在、航空機利用者数は年々増加している中、空港の離発着間隔は限界に近付いており、これ以上航空機を増やせない状態となっている。 そこで、エアバス社では、将来人員大量輸送が主流となると考え、この航空機A380を開発している。 就航は2006年3月予定で、シンガポール航空が成田〜シンガポール間に投入する考えだ。 エコノミー座席も、今より広くなるらしく、流行のエコノミー症候群とはおさらばできるだろう! |
The A380 brings new standards of comfort, better economics, in an aircraft that is more environmentally responsible. Whilst doing all of this it allows growth and reduced congestion from today’s airports with minimum of change. Most importantly, the A380 introduces competition to the large aircraft sector, completing Airbus product portfolio. このエアバスA380は経済性に優れており環境面に配慮された航空機だ。しかも、空港の混雑緩和にも貢献する今後主流となるであろう航空機のカタチだ。 将来、大量輸送の需要は無いと見たライバル”ボーイング社”も、A380の受注が伸びているのを見て追従してくるのは必死だ! 今後は巨大さで対立することになるであろう。 |
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