2001年1月12日、自動車メーカーで21世紀初の新型車発表となったのが、この日産シーマだ。先に発売されたトヨタセルシオのライバルとなる車であるが、セルシオの「静かさ、広さ、ソフトな乗り心地」という性格とは別の、「出足の良さ、加速の良さ、エンジン出力の大きさ」という魅力で、近年ではトヨタセルシオの独壇場となっていた国産最上級車市場へ挑む。

 この車は日産最上級車ということで、いろいろな新技術が盛り込まれている。世界一明るいヘッドランプシステムや、自動運転化への一歩を踏んだレーンキープサポートシステム、トランクリッド自動開閉機構などだ。

 その一部を紹介していこう。

 

 まずは、外観で一番に目を引くヘッドランプから見てみよう。

 写真の「マルチプロジェクターキセノンヘッドランプ」と呼ばれるこのランプは、よく見ると7つの小さなレンズが見える。ある人はバルカン砲、ある人はリボルバー、またある人はたこ焼き板というこのランプは、7つの小径凸レンズを配したプロジェクター式のキセノンヘッドランプで、従来のキセノンヘッドランプの約1.7倍もの明るさと、広い照射面積を実現している。また、前方を走る車に、「とろとろ走ってんじゃねえ!どけっ!バルカン砲ぶっ放すぞ!」という威嚇効果もあり、「前車自動道譲り機能」も搭載している(前方を走る・・・からは冗談です)。

 配光特性に優れた従来の大口径プロジェクターランプを採用すると、奥行きが大きくなりエンジンルーム内スペースの関係上搭載が難しくなる。

 マルチレンズと特殊な自由曲面リフレクターを用いることで、大口径と従来ユニット並みの奥行きを両立させている。それぞれの配光持ち場を最適化し、真ん中に3つ並べて横方向を効率よく照射し、上段・下段に2つずつ並べて上下方向をカバーする。

 なお、300Gにはインタークーラーを収める場所の関係で、通常のハロゲンランプとなっている。

 

 次に、レーンキープサポートシステム(=直線路車線維持支援機能)について。これは、白線などの車線を画像認識し、車線を外れそうになると自動的にハンドルに力を加えて逸脱を抑える。もちろん世界初の機能だ。

 2020年には自動車の完全自動運転システムが実現するという予想がされている中で、それに一歩近付いたこのシステム。半径100メートル(100R)以上のカーブで、前車が急停車したり割り込みされたり、車線が消えている等が無い状態では、基本的に何の操作も行うことなく自動走行してくれる。急カーブなどで維持機能が働かなくなった場合には、警告音を発して運転者に注意を促す仕組みだ。

 このシステム、あくまでサポートであるため、システム作動中も通常のように運転には集中していなければならない。

 

 

 次にオーディオを見てみよう。

 ナビゲーションやテレビを見るときは、画面がホップアップし8インチワイドモニターとなる。それ以外の時には画面は半分になり、エアコンやオーディオの作動状況が表示された画面となる。

 このナビゲーションは、DVD採用の日産最新の高機能タイプで、内蔵FM多重チューナーによるVICS渋滞&交通規制情報表示や、ECT(ノンストップ自動料金収受システム)対応など、多様な拡張機能を備えている。

 

 助手席の座席下に格納されたオットマン(足のせ台)が、電動で前方に出てくる(最大張り出し長190mm)。まるでファーストクラスの豪華座席でくつろげるようなリラックス姿勢でゆったりと座れる。掛け心地もVIP仕様の左後席以上だそうで、大切な人をエスコートするなら電動オットマン装着は必携だ!最高のおもてなしをプレゼントできる。

 

 

 写真はCIマークの変遷である。時代の流れとともに微妙に変更を繰り返している。どこが変わっているのか一見しただけでは分からない。

 CIMAのロゴも、2〜3代目は筆記体だったのに対し、今回はブロック体となった。当時は筆記体が新しく、親しみやすい高級感を表現するために継続してきたが、最近では国内で筆記体のロゴが増えてきたこともあり、今回ブロック体を採用したそうである。

 

 現在の高級車市場はほぼトヨタの独壇場となっている。収益性の高い高級車が売れないと利益が出ず企業の発展は難しい。今回のCIMAで日産は元気を取り戻せるだろうか。