日本の高速道路、赤字路線はどのくらいある?

 

 高速道路は英語で「フリーウェイ」という。通行料金が無料であるという意味なのだ。

 私は幼少のころから「フリーウェイ」というのは知っていたが、当時速度がフリーだと思っていた。高速道路は有料であるというのが常識だと思っていた。

 日本の高速道路の通行料は世界一高いといわれている。しかもすべてが有料だ。これは9割方が無料で文字通りフリーウェイであるアメリカなどと比べ、きわめて特異だ。

 高速道路を建設するにあたっては、日本道路公団(JH)が国から建設費用を前借りする。完成後、高速道路を通行するドライバーから通行料金を徴収し、前借りした費用を毎年国に返却してゆく。全ての費用を返し終えたら、その区間は晴れて無料になる。返し終わるまでの期間は原則として50年間と定められている。

 しかし、実際には”プール制”と呼ばれる仕組みによって高速道路が作られているため、今後日本の高速道路が「フリーウェイ」と呼ばれる日が来ることは、まずありえない。

 ”プール制”とは、徴収した料金をプールしておき、東名高速など本来は無料になるはずの黒字路線の通行料金から得た利益を使って、地方の赤字路線を建設する費用にあてるという制度だ。

 高速道路が赤字かどうかを判断するには”収支率”という指標を用いている。収支率とは100円の利益を得るためにいくらの経費がかかるかということを意味する数字だ。

 右表を見てみよう。各路線の収支率を一覧にした。グラフは分かりやすいように100から収支率を引いた数値で表した。0を境に右側黒色が黒字、左側赤色が赤字である。

 日本の大動脈と言われる東名高速は収支率16、中央自動車道は24で黒字路線だ。これに対し中国横断自動車道は187だ。100円の利益を得るために187円もかかってしまう。

 左図に日本地図と収益率のグラフを記した。

 これを見ると、黒字路線は東京や大阪の大都市近郊や、その都市を結ぶ路線に集中している。基本的に渋滞が発生する路線はたいてい黒字だ。逆にいえば、渋滞を引き起こさないと利益を得られない?

 ちなみに、最近出来た路線で、膨大な費用を投資したにもかかわらず大幅な赤字を計上している路線は、アクアライン(東京湾横断道路)が収支率316、関西国際空港線(関西空港)は564にも及ぶ。

 この地図を見ると、もう高速道路網はある程度完備された感じだ。今後は採算の取れない路線の新規建設はやめて渋滞路線の渋滞緩和に力を注いで欲しい。

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