炎天下の自動車車内はどれだけ暑くなる?

 真夏のとある日曜日。
 昼過ぎまで寝ていた私は、暑さで目が覚めた。今日はこれといって予定もない。テレビをつけると「噂の東京マガジン、やってTRY」がやっていた。この女の子はハマグリとサザエの見分けもつかないのか〜、と驚いていた。そして、料理を作り始める。それを見ていると、お腹がすいていることに気が付く。
 それで、何か食べに行こうと車のキーを取り、マイカーのある駐車場に足早に歩く。今日も天気は快晴!もう気温は30℃をとっくに超えているだろう。
 駐車場は屋根なしの炎天下だ。ドアを開け車内に入ろうとすると、むあ〜っと熱気が全身を襲う。
 すぐにエンジンをかけ、エアコンのスイッチを入れる。しかし、エアコン吹き出し口からは熱風が吹く。耐えられずに外に出、車内が冷えるのを待つ。快適温度になるまでには、数十分はかかるだろう。
 そこで疑問が。『一体この車内温度は何度になってるんだろう・・・?』
 というわけで、さっそく調査を開始した。

 

 このテストは、排気量2000ccクラスのセダンでボディーカラーはシルバーの車を使用。測定は6箇所に温度センサーを取り付け、30秒ごとに各部の温度を測定。
 まずは、早朝日の出前からの温度変化を見てみよう。(グラフ左)
 車に日が射すと同時に温度上昇が始まる。やはり大きなウインドウガラスから直接太陽光を受けるダッシュボードがいちばん温度上昇が激しい。10時にはダッシュボード温度は74℃まで上昇した。この温度ならまともに触れない。うっかり火傷してしまう恐れもあり要注意だ。

 次に午後のテストでは、エアコン全開で車内温度を17℃に冷やしてからエンジンを止めて、温度変化を測定した。(グラフ右)
 ここでは、サンシェード対策したものとしないもので比較した。サンシェードとは、夏場によく車のフロントガラスに目隠しにように大きなダンボールを貼り付けているのを見るだろう。あれがそうだ。また、サンシェード対策の車はウインドウを指が入る程度開けている。
 このグラフを見ると、サンシェード対策はかなり効果がある。ダッシュボード温度で25℃も低くなっている。
 ここで、驚くべきことはボディ表面温度である。ボディ表面は鉄板で出来ており、直に直射日光が当たるので、ダッシュボードより高温になると思っていた。しかし、上の結果を見ると、ダッシュボードは74℃になるのに対しボディ表面は49℃しか上がっていない。ボディは外気と触れているため、熱がどんどん外気に奪われて温度が上がらないのであろう。実験車両はシルバー色だったので、ブラック色ならどれくらいまで上昇するか測定してみたいところだ。

 

 サンシェード対策有り無しでの最高温度の差は下図のとうりだ。
 測定場所は右写真の3箇所と、車内の気温とカップホルダーに置いた缶ジュースの温度の計5箇所を測定した。

 

 これを見ると、対策なしの場合はハンドルの温度は71℃まで上昇しているが、サンシェード対策したものは50℃に抑えられる。サンシェードなしではハンドルは熱すぎて素手では触れず、すぐに運転するのは無理だ。
 缶飲料も59℃まで上昇する。炭酸飲料ならもう飲みたくない温度だ。また、炭酸飲料ではこの温度では破裂する可能性もあり、注意が必要だ。
 それから、助手席足下は思ったほど温度が上がっていない。サンシェード対策なしの場合でも42℃しか上がっておらず、車内の隠れた避暑地だ。炎天下で熱に弱いものを置いておかなくてはならない場合は足下に置くのがベストか?(※セダン車の場合は、トランクに入れるのがベストです。)

 

以上のデータは雑誌「ジャフメイト8・9月号」から引用しました。